フロリダ州 Florida
州の情報
- デルレイビーチ
- タンパ

州都 | Tallahassee/タラハシー |
---|---|
人口 | 2,154万 |
主要都市 | Orlando/オーランド Tampa/タンパ 他 |
主な観光地 | ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート® マイアミビーチ ケネディ宇宙センター ジャクソンビル |
州の紹介
「日光の州」フロリダは、例年1億人以上の観光客が訪れる美しいビーチ、アミューズメントパーク、クルーズ船など魅力溢れる人気観光地です。また温暖な気候から、国内のミカン生産量の3分の2を占めています。「遊園地」という言葉を越えたオーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートには、ディズニー・ハリウッド・スタジオやマジック・キングダム・パークなど多数の施設があり、ここでしかできない冒険が盛りだくさん。オーランドから日帰りで行けるケネディ宇宙センターでは、宇宙飛行士と会えたり、歴史的なロケット打ち上げが行われた現場も見られます。マイアミでは、ビーチ以外にもアールデコ様式の建築物、レストランやバーなども楽しめます。
この州に派遣されたコーディネーター
タンパでの2年間を終えて
アメリカには仕事で何回も出張に来ていましたが、生活をするのは初めて。そしてフロリダのタンパも初めて訪れる場所でした。2008年8月にタンパに来た当初、毎週のように来るハリケーンに悩まされ、日中の突き刺すような強い日差しの中で、生活基盤を築くことに追われました。その後、2年間のJOIの任期を終えてアメリカを去る時には、タンパは私にとって一生忘れることができない思い出の場所となりました。
タンパは、人口34万人、州では3番目に大きな都市(フリー百科事典ウィキペディア『Wikipedia』)ですが、日米協会も日本企業もまったくありません。また、公式の日本人コミュニティもありませんので、すべてが手探りの中で、アウトリーチ活動(学校やコミュニティを訪問して日本文化を紹介するプレゼンテーションやワークショップ等を行なうこと)を始めました。新聞、インターネット記事で、日本文化・交流に関する記事を見つけては押しかけ訪問し、タンパに来た理由と共に自己紹介をして、ネットワーク作りを始めました。

タンパベイエリアには、日本との姉妹都市交流をしている都市がいくつかあります。クリアウォーター市と長野市、セントピーターズバーグ市と高松市、ラーゴ市と香美市、日米両市の担当者と相談しながら、写真展や記念行事のイベントを企画しました。特にクリアウォーター市と長野市は、50年にわたり、中学・高校生という学生レベルでの交流だけでなく、市民レベルでの交流が長く継続しています。前年度は長野の善光寺で行なわれている灯明祭と同じイベントを開き、地元の人達と提灯行列をしたり、今年は長野と縁のある真田幸村の鎧兜を市内に設置するお手伝いをしたりしました。ラーゴ市の場合は、香美市との姉妹高校提携の調印書作りのお手伝いや、日本から来た高校生およびライオンズクラブのサポートにあたりました。
アウトリーチ活動としては、プレスクール、小・中・高校、大学、養護施設、図書館、美術館、病院、ボーイスカウト、社会人コミュニティ等、様々な場所で、日本を紹介する機会をいただきました。何度か呼ばれた高校では、生徒が私の顔を覚えてくれて、短期間での彼らの日本語能力の成長を感じることができたのは、大変に嬉しいことでした。

派遣先の南フロリダ大学では、インターナショナルウィークに日本の文化紹介として、茶道の講演、琴とフルート、バイオリンのコラボ演奏を行ないました。また、食文化紹介ということで、地域のコミュニティに呼びかけて、「日本のラーメン文化」講演、および『ラーメンガール』という映画の上映会を実施し、学生向けにはアニメ上映会も行ないました。さらに、同大学は前年度、日本の国立大学と交換留学制度を締結して国際交流を進めています。そこで、日本から教授や学生が訪問した際には、そのサポートにもあたりました。また、日本人留学生に対して就職活動のアドバイスをしたり、日本企業への就職を希望しているアメリカ人学生も多いので、大学の就職支援部門の担当者全員に、日本企業の特徴、履歴書の書き方、面接方法等について講義を行なったりと、活動は多岐にわたりました。

フロリダにおける集客力が最大の展示施設は、オーランドにあるディズニーワールドです。その中の施設の一つ「エプコット」には、万博をイメージさせる「ワールドショーケース」という場所がありますが、そこの「日本館」には日本を紹介するギャラリーがあります。せっかく大勢の人が訪れる場所なので、是非ここでも国際交流基金所有の「日本の世界遺産写真展」を開きたいと思いました。ディズニーの担当者に会うのは中々難しいと聞いていたのですが、フロリダに来てから、今までお世話になった人々を通じて、紹介の紹介、そのまた紹介という形で、ついに担当の役員と会う事ができました。プレゼンテーション当日は、担当役員、マネージャー、デザイナーが勢ぞろいの中、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が選定している世界遺産の意義を説明し、その結果2009年11月から2010年5月まで半年間の展示が決定しました。
来場者が腰かけて写真を見たり、瞑想したりできるように作られたミニ石庭は、落ち着いた雰囲気を醸し出し、ゆったりと鑑賞できるようにデザインされました。開催初日には、在マイアミ日本国総領事館主催で、日本政府観光局ニューヨーク事務所もお招きし、オープニングパーティーを開く事ができました。14か所の日本の世界遺産の中には、京都、奈良といった日本を代表する観光名所もありますが、広島原爆ドームの写真もあります。これら人類の負の遺産を含め、日本の文化遺産を次の世代に引き継ぐべきものとして、半年間にわたって世界中のお客様に見てもらえたことは、大きな喜びです。
2年間、貴重な機会を与え、ご支援くださった国際交流基金、ローラシアン協会、南フロリダ大学, タンパの多くの皆様には、この場をお借りして、心から感謝申し上げます。
デルレイビーチでの2年間
Expo2005愛 ・ 地球博での仕事を終え、日本と諸外国との懸け橋になれるような仕事を探していた私が国際交流基金のホームページで見つけたのが、JOIプログラムでした。
第5期コーディネーター採用が決まり、2006年4月末に参加したオリエンテーションで、私の派遣先がフロリダ州デルレイビーチにある「森上ミュージアム」になることがわかりました。フロリダは以前旅行したことがありましたが、オーランド、マイアミ、キーウエストに滞在したくらいだったので、デルレイビーチに日本文化に特化したミュージアムや広大な日本庭園があることなど、全く知りませんでした。早速ホームページを見てとても素晴らしい所に派遣されることがわかり、このチャンスは掴むべきだと確信しました。
森上ミュージアム内では、私は教育部に所属し、月に1度「ファミリーファン・プログラム」を担当して、来館者に折り紙を教えていました。2年間の間に17 回のプログラムを行ない、約1,500人に様々な折り紙を紹介 してきました。中でも母の日のカーネーションを付けたカードや、バレンタインのハート、作ってから遊ぶこと が出来る吹きゴマ、跳び蛙、回転木馬などは人気がありました。リピーターも多く、2 年前にはベビーカーで来ていた子どもが最近は歩いてきたりして、とてもびっくりしています。
森上ミュージアムでは1月にお正月、2月に初芽、4月に子どもの日、8月にお盆という 4大行事があります。 お正月には、餅つきや獅子舞、琴や和太鼓の演奏、羽根突き、福笑い、お茶会等があり、私は書初めを担当しました。子どもの日には、子どもが楽しめる様々な遊びを用意します。私は、2年間とも約 4メートルの巨大鯉のぼりを担当し、イベント当日、来場の方々が鱗一枚一枚に思い思いのデザインを施していただけるよう準備をしたり、前年同様に作成した巨大鯉のぼりをロビーに飾ったりしました。
その他、学校が夏休みの期間に行なわれる、「Summer Tour Plus」という特別プログラムのお手伝いなどもしましたし、ミュージアムにあるお茶室で、月釜のお手伝いもしました。帰国前の6月末には、今までの感謝を込めて、スタッフ全員と元ホストファミリーを招待してお茶会を開き、大変好評でした。森上ミュージアム外では、幼稚園から高校までの教育機関や図書館、様々なコミュニティやサマーキャンプを訪問し、日本文化を伝えるアウトリーチプログラムを行なってきました。2 年間で延べ約 1 万人に接してきたと思います。紙芝居、折り紙、習字、箱庭作り、お茶文化の紹介、魚拓、凧作り、十二支、伝統的なおもちゃやゲーム、お面作り、日本人の衣食住の紹介など、内容は多岐に渡ります。中でも印象的なのは、Donna Klein Jewish Academy(幼稚園〜高校の一貫校)での「Konnichiwa Japan」という継続的なプログラムや、アーティストの大森マリさんとあちこち出かけ、 お茶に関するアウトリーチを行なったことです。各参加者に特製の紙にお茶の思い出等を書いてもらい、マリさんが後日ティーバッグをその紙に重ねコラージュしたものをミュージアムの壁に展示しました。
またデルレイビーチ市は京都の宮津市と姉妹都市ということから、交換留学生に日本文化を教えたり、翌年度の交換留学生選考委員になったりという仕事もありました。
この2年間で学んだことはたくさんあります。特にボランティア活動については、日本はアメリカから学ぶべきものがたくさんあると思います。日本と違い、スムーズに物事が運ばないことが多かったので、私にとっては、 研修の時にたびたび言われた“Be flexible.”(臨機応変に行動する)ということが最大の教訓になりました。また「人生を楽しむ」ということが大切なことも教えられました。というのも、同僚にアウトリーチに行くと告げるとたいていいつも“Have fun!”(楽しんできて !)と送り出してもらえるのです。仕事として教えるのではなく、自分も楽しい時間を過ごせば、相手も楽しくなってうまくいくから、楽しんでとのことなのです。様々な価値観を知りました。
2年間フロリダで生活し、仕事をしたことによって、ただの旅行では出来ないことも色々体験し、多くのアメ リカの良いところ、日本の良いところを再認識することが出来ました。友人知人も増え、私の貴重な財産となりました。幸運なことに今年の2月には日本男子テニス界の若手ホープ錦織圭選手の最初の国際大会での優勝試合を観戦することも出来ました。デルレイビーチに派遣されて本当に良かったと思いました。
最近いろいろな人から“We will miss you a lot. We are lucky to have you here for the past 2 years.”(あなたがいなくなると寂しくなるわ。2年間あなたがいてくれてとても良かった。)と言ってもらえて、とても幸せに感じています。この経験を活かし、今後も日本と諸外国との懸け橋になれるような仕事に従事したいと思います。
最後にこのすばらしい機会を与えてくださった、森上ミュージアム、ローラシアン協会、国際交流基金日米センターの関係者の皆様と2年間私を応援してくれた家族や友人知人の皆様に、この場を借りて心から感謝したいと思います。どうもありがとうございました。