ミズーリ州 Missouri

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州の紹介

ゲートウェイアーチ国立公園(セントルイス)

ミズーリ州は1821年に24番目のアメリカ合衆国州となりました。当初奴隷制として発展した同州では、奴隷制度廃止論者や北部諸州の住民により組織された「地下鉄道(Underground Railroad)」が1840年から1850年代に活躍しました。州都ジェファーソンシティにある豪華なミズーリ州議事堂と知事邸宅は見どころのひとつです。主要都市セントルイスは本場のブルースやミズーリのバーベキューを楽しむのに打ってつけ。またゲートウェイアーチ国立公園では、約190メートルの頂上からセントルイスの風景が見渡せます。ハンニバルには世界的に有名な作家マーク・トゥエインの少年時代の家と博物館があり、彼の初版本や「トム・ソーヤの冒険」を執筆した際に使用した椅子などが展示されています。

カンザスシティのダウンタウンを望む
ミズーリののどかな風景

この州に派遣されたコーディネーター

森下 佳南 Kana Morishita
第8期 セントルイス/ウェブスター大学
大学卒業後、名古屋市立守山中学校の英語教員として4年間勤務。ますます進む国際化の流れに適応できる子どもたちの育成に貢献したい。そのために米国の教育現場で国際理解教育に携わりたい。その思いが募り、JOIへの応募を決意する。

絆「人と人とのつながりが生み出すもの」

2009年の夏、希望とやる気を胸一杯にセントルイスの地に降り立った日のことは今でも忘れません。家族や友人、多くの方々に支えられ、励まされました。予想以上のことを学び、経験させてもらえたこの2年間の活動を振り返りながら印象に残った2年目の出来事や感想をお話しさせていただきます。

1年目同様、2年目の主な活動内容は、(1)地域の小・中・高校での日本に関する授業提供、(2)地域の図書館やその他の公共施設での日本文化に関するワークショップの展開、(3)ウェブスター大学内での日本語・日本文化の促進活動でした。特に2年目は、セントルイスに何かを残したい、ということを意識してこれらの活動に取り組みました。そこで、自分が去った後も少しでも持続可能な活動にするために、新たに挑戦したことを二つ、ご紹介します。

まず、先生向けのワークショップを合計3回開催しました。子どもたちに普段接するのは現場で働いている先生方です。先生自身の日本に対する興味関心の有無で子供たちが学ぶ量や内容が大きく変わります。対象となったのは主に社会科の中学・高校の先生方で、扱う内容は「社会の変化:育児をする男性/働く女性」や「少子高齢化」「日本人女性の役割」「日本の中高生」などでした。

まだ日本では男尊女卑の流れが強いと思っている先生方がいる中、その流れが変わってきていること、少子化対策の取り組みなどを紹介すると、「なるほど~!」と興味深そうに聞き入ってくれました。ワークショップ後の先生方の感想を読むと「これからは日本にももっと目を向けて授業をしてみるよ」と、前向きな意見が書かれていて、とても嬉しかったです。ワークショップで知り合った先生方からはその後、定期的に訪問授業をさせてもらう機会も得て、よい関係を築くことができました。

次に、地元の大学生や高校生、日本人の方々と協力して学校訪問や図書館での活動も行いました。2010年10月、ある高校の先生から、学校で「日本祭」を一週間行いたい、との依頼を受けました。具体的には、どの授業にも日本をからめた題材を扱ってほしい、とのことでした。茶道・華道・書道・お箸の使い方・料理・禅・着付け・アニメ・漫画・ゲームなど、伝統的文化からポップカルチャーまで扱う内容は幅広く、とても一人では成し遂げられないことが確実でした。

そこで、1年間、築き上げてきた在住日本人とのネットワークを活かし、学べる方からは学び、協力してもらえる方には協力していただきました。大学生からもボランティアを募りました。生け花の先生は当日の都合が悪かったので、高校生でもできる簡単な生け花の生け方を先生自ら私に伝授してくださり、大変助かったのを覚えています。実は、セントルイスには、大小様々ですが、日本人コミュニティが数多くあります。それぞれの分野に誇りを持ち、専門性も高く、私も勉強させてもらうことが多々ありました。このようなコミュニティと地域の学校や図書館が一緒に交わりあう機会を何回も設けることで、新しい発見やつながりが生まれることに気付かされました。世代や人種を超えた交流は大きな感動と元気を私たちに与えてくれます。そのことを深く理解させてくれたのが次にあげるもう一つの事例です。

2011年3月11日、東北地方で未曾有の大惨事が起こりました。それ以来、学校や図書館で出会う子どもたちや大人たちからは必ず、「日本の人たちは大丈夫か。自分たちに何ができるかな」と聞かれます。私の知っている限り、セントルイスでも多くの小・中学や高校、大学で義援金を募る活動が行われました。私が赴任した当初は日本を一国として理解していなかった生徒たちが、今では東日本の復興支援のために大きな声を出して募金箱を抱えている姿を見たときは、何とも言えない気持ちになりました。私の所属していたウェブスター大学でも、日本人学生や教授陣を中心に義援金を集めるため、様々な活動が行われました。その際、地元のコミュニティの方々が大勢、ボランティアとして参加・協力をしてくださいました。一人ではできないことでも、多くの人々が協力しあうことで計り知れない大きな力が生まれます。絆が生み出した人のあたたかさとパワーを強く感じた瞬間でした。

私が残せたもの・・・それは結局のところ、目に見えず、はっきりとはわかりません。ただ、自信をもって言えることは、私が去っても、セントルイスには日本が大好きで日本を理解しようとする人々の絆がある、ということなのではないかと思います。

JOIを通して、自分の国や文化に誇りを持ちつつ、世界の様々な国やその文化を尊重することで、より平和で心豊かな社会が生まれると強く感じました。この場をお借りしまして、この貴重な機会を与え、支援してくださった国際交流基金日米センター、ローラシアン協会、ウェブスター大学、セントルイスの皆様には心から感謝申し上げます。

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派遣対象地域

JOIプログラムの派遣先をご紹介します。
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