ウィスコンシン州 Wisconsin

ホーム派遣対象地域ウィスコンシン州

州の紹介

モノナ湖から見たマディソン

ウィスコンシン州は1848年に30番目のアメリカ合衆国州となりました。「アナグマの州」というニックネームは、採鉱に従事していたヨーロッパからの入植者たちが、家を建てずに住まいとして穴を掘っていたことに由来します。現在は、製造業、乳業、農業がウィスコンシンの経済を支え、チーズやビールが有名です。州都マディソンは、ワシントンD.C.の州議事堂に大きさも美しさも引けを取らない壮麗さが見どころです。主要都市ミルウォーキーでは、ドイツのルーツを感じられる街並みや同州発祥のハーレーダビッドソンについて探求できる博物館が人気です。都会の魅力も湖岸のビーチや多様なウィンタースポーツも楽しめるのが同州の魅力です。

ミルウォーキーのダウンタウン
ミルウォーキー美術館

この州に派遣されたコーディネーター

中 博美 Hiromi Naka
第12期 マディソン/ウィスコンシン大学 マディソン校 東アジア研究センター
父親の転勤に伴い12年間韓国に在住。大学卒業後、日本語教師養成講座を受講。日本語教育能力検定試験に合格。日本語教師としてイギリス、中国、ロシアで勤務。日本文化発信、異文化理解の活動に賛同し、JOIプログラムに参加。

草の根交流の「365×2」日。

Holiday Folk Fairのグランプリ受賞

ウィスコンシン州では、毎年ミルウォーキー(州最大の町)でHoliday Folk Fairという国際文化祭りが開催されます。70年以上も続く、歴史のあるお祭りです。元々ルーツの異なる住民の相互理解のために生まれたお祭りだそうで、今でも国際理解教育のツールとして親しまれています。様々な国を代表するブースが立ち、売店では珍しい国の伝統料理がいただけます。他にも各国のダンスや歌、料理のデモンストレーションが楽しめるステージもあり、3日間に渡る規模の大きなお祭りです。私は2年続けてこのお祭りで働きました。1年目は子供向けのアクティビティのコーナーと、日本食のデモンストレーションを担当しました。また、2年目はミルウォーキー在住の日本人Dさんと協力し、日本ブースのオーガナイザーとして働きました。そして、この2年目に、日本のブースはBest of the Fairという、このお祭りにおける最高の賞を受賞したのです。この賞は、各国のブースの中から、入場者の投票と審査員の審査の総合点によって選ばれます。受賞された喜びは勿論ですが、何より、入場者の投票による受賞だということが喜びを大きくしました。

“You are patient(辛抱強い)”

JOIの2年間で現地の方に最も多く言われたのが、この言葉です。これは特に、子供たちに折り紙などの工作を教えた時に言われました。あくまでも私の印象ですが、アメリカで出会った子供は、私の知る日本の子供と比べ、わからない時にすぐに助けを求める傾向にあると思います。そして周りの人は、助けを求める子にすぐに手を貸します。これらの行動は「自分の要求を伝えられる」「助け合う」という点では優れた姿でしょう。ただ、これでは子供の成長には繋がりません。そこで私が子供たちに伝えたのは、「説明をしっかり聞いてゆっくりやれば必ずできるから、やり遂げろ」という事でした。そして、子供たちが自分の力で出来るまで何度も何度も説明をしました。また、既に出来る子達には、「助けるとは『やってあげる』ことではなく、『出来るように教えてあげる』こと」だと伝えました。そして、その様子を見ていた大人たちに言われたのが“You are patient”の言葉でした。

以前、“Struggle Means Learning: Difference in Eastern and Western Cultures(試行錯誤のもがきは学び:東と西の文化の違い)”という記事を読んだことがあります。アメリカの記者が日本の学校を訪問して書いた記事で、内容を簡単に言うと―西では、試行錯誤によるもがきは「自分は出来ない人間」という良くないイメージを本人に抱かせるという恐れがあり、プロセスはさておき、到達した結果を重視して褒める傾向がある。対して東では、試行錯誤のもがき自体に「諦めない」「粘り強い」「努力家」というポジティブな思考を見出す―というものです。これを読むと、アメリカの褒めて育てる文化が分かります。そして、私の指導が、東洋的であったことも。ただ、私の指導を、現地の方はpatientとポジティブに受け止めてくれました。文化の違いとその良さを指導方法でも示せたのは、(意図的にやったわけではありませんが)JOIらしい活動でした。

フランシーのハグ

学校訪問は単発のものが多いのですが、機会があれば、同じクラスを何度も訪問することもあります。フランシーのクラスには、週に3日、5ヵ月間通いました。フランシーは3年生の女の子。自分に余り自信が持てない様で、自分を悪く言い、写真に写るのも嫌がります。クラスメイトと楽しく話はするものの、触ったり触られたりすることも嫌がる子でした。そのクラスには定期的に通っていたこともあり、子供たちは私にとても懐いてくれていました。フランシーも私のことを好いてくれ、クラスに行くと側に来て、いつも私を褒めてくれました。そして、そのクラスでの仕事の最終日。クラスの皆と写真を撮りましたが、フランシーは写真に入りませんでした。授業が終わって帰る時、クラスの子供たちが次々にハグをしてくれました。フランシーも近くに居ましたが、ハグがしたくても出来ないという様子でした。そして、いよいよ帰ろうとした時、フランシーが私にハグをしてきたのです。短いハグ。でも、精いっぱいのハグでした。

この時のことを思い出す時、いつも思います。自分がJOIとしてどれほどの仕事が出来たかは分からない。でも、少なくとも、一人の日本人である私を、一人のアメリカ人の女の子が好きでいてくれたことは確かだと。それはJOIのような草の根交流のプログラムにおいて、本当は一番大切なことであるのだろうと。

私がこの2年間で関わった人達が少しでも日本を理解し、愛してくれたことを願います。また、未来のJOIコーディネーター達が貴重な体験を通して日米相互理解の体現者となることを願っています。

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派遣対象地域

JOIプログラムの派遣先をご紹介します。
各州の概要や派遣されたコーディネーターの活動報告を掲載していますので、地図をクリックして是非ご覧ください。