コーディネーター
インタビューCoordinator Interview

ホーム参加者の声コーディネーターのインタビュー澤邊 大輝
My JOI Story
第14期 2015年8月~2017年7月
バージニア州 / フェラム / フェラム大学

澤邊 大輝さん

興味が湧いたことにはトライしたい

JOIプログラムに応募したきっかけは、前職の家電メーカーに勤めていたとき目に留まったパンフレットでした。当時、海外に身を置きたいという希望を持っていましたが、勤務していた部署では難しく、希望を早期実現するために社外に目を向けようと考えていた矢先でした。
私は、せっかくの人生、一度興味が湧いたことにはトライしたいと常々思っています。普通のサラリーマン生活もやりたいことの一つでしたが、実は、小学校の先生になりたいという夢も諦めきれずにいました。だからパンフレットを見た瞬間、「小学校の教壇に立つ夢と、海外に身を置く希望を同時に実現できる。応募しないと絶対後悔する。絶対に行きたい」と思いました。そして何より、面白いキャリアも築けるだろうと思ったので、すぐに応募しました。合格後、周りを説得した上で会社を辞め、渡米しました。

信頼関係作りから始め、ソーラン節で深めた交流

私の派遣先はバージニア州フランクリン郡でした。事前の調査では非常に保守的な地域とのことで、差別があるのではないかと懸念していました。しかし実際は、南部のホスピタリティと田舎の温かさを、日々感じられる土地でした。

私はフェラム大学に職員として赴任しました。スーパーバイザーはフェラム大学の教授でしたが、彼女は、活動範囲を大学内だけでなく地域の小学校を中心にしたいという、私の希望を尊重してくれました。

アメリカの中でも日本との交流の機会が少ない田舎を切り開いて、活動先を見つけるにあたっては、私なりの工夫を凝らしました。突然学校を訪問しても、正体の知れないアジア人では警戒されるだけだ、と考えたからです。まずスーパーバイザーである教授に相談し、大学に郡の教育委員会との橋渡しをしてもらいました。教育委員会で活動内容のプレゼンテーションを行い、自作のパンフレットを配布しました。教育委員会から各学校に私の活動を伝えてもらうことで不信感を払拭(ふっしょく)し、学校から私に連絡が入るようにしたわけです。その甲斐もあって、訪問した学校から、遠く日本から来た先生として歓迎してもらえました。

私が日本を紹介するアクティビティとしてよく行っていたのは、巻きずし作りと折り紙体験ですが、特に力をいれていたのはソーラン節です。踊りは身体を使うので子どもに好評ですし、ロック調で楽しめます。そのうえソーラン節は奥が深く、ニシン漁や日本の地理、生活文化・食文化、太鼓や笛などの伝統楽器といった、様々な要素が含まれています。多様な側面から日本を紹介するために最適なアクティビティです。
また、地域のスーパーマーケットに行くと、必ず子どもに「この前学校に来た人だ」と声を掛けられました。「Mr.サワベ」が言いづらい子どもからは「Mr.ワサビ」と呼ばれていました。子どもたちや保護者、先生方から輪が広がり、教室の外でも多くの人から声を掛けてもらえるようになったときは、このプログラムの影響力を感じましたね。

JOIの経験とサラリーマンの経験を融合して活かす

JOIプログラムでは、地域の人と一緒に生活をし、毎日小学校や教会などのコミュニティと関わります。この草の根レベルの交流を通して、2年間ずっと、町の人たちと同じ目線でアメリカ社会を見ていきます。そのため旅行や駐在勤務よりもアメリカの生活文化を一層深く知ることができると考えています。それだけでなく、自分も現地の子どもや先生方と一緒に成長し、このプログラムでしか得られない知見や考え方を身に付けることができたと思っています。 帰国後にJOIプログラムの経験を活かして何ができるかは、行ってみないと分からないと思います。私は帰国する前、小学校の先生になることを検討していました。しかし帰国時は、むしろJOIとサラリーマン両方の経験をうまく融合して、自分にしかできない面白いキャリアを形成したいと考えるようになり、日本の食材を海外に向けてブランディングする機関に就職しました。

JOIで深くアメリカを知ったことで、メディアが流す「海外から見た日本」の情報の真相を客観的に捉えられ、仕事に活かせています。

日本の食材をアメリカでマーケティングするにあたって、日本に対するステレオタイプ(固定的な概念)の利用が有効かどうか、また西海岸や東海岸、もっと小さな地域ごとの特徴は何かなどの把握が、非常に重要になります。私は地域の人々と同じ目線で生活していたからこそ、その感覚が分かり、情報を捉えられ、また実際の経験に照らし合わせてシミュレーションもできます。JOIプログラムの経験があったから、誰をどう狙うか、的を射た戦略で商材を“魅せる”ことができているのではないかと思います。

自分でゼロから成し遂げたいあなたへ

今自分がやりたいことをできていない人や、組織のしがらみから離れ、思う存分自分の責任でゼロから物事を回してみたい人は、JOIプログラムに挑戦してほしいと思います。決して軽い気持ちで活動できるプログラムではありませんので、周囲のサポートがないと行動できない人にはあまりお薦めできません。しかし、自分で全部やりたい人にはとても良い機会ですし、行って後悔することはないと思います。 私は妻を帯同しましたが、基本的に異国の田舎で、一人で活動することになります。すごく大変な任務ですが、先を読み、成功するまでの筋道を立てて行動することを通して、能動的に一人で回す力や、困難を乗り越える力が身に付くと思います。困難な環境に身を置いてでも一人でやってみたい人にとって、チャレンジしがいがあり、成長できるプログラムだと思います。